浅間山を描く日本画家 柳沢正人

『浅間』三十六景に挑む

 三十六景と言えば(富嶽三十六景)江戸時代に活躍した浮世絵師「葛飾北斎」を思い浮か べる人も多いのではないでしょうか。
 三十六景では様々な場所、季節、色彩,構図で必ず富士山が描かれています。
 葛飾北斎が富士を描いたのが推定で(1831年)北斎72歳の ときと言われています。
 富士山を目視した経験があると言われていますが、しかし構図などは必ずしも実在するものではなく葛飾北斎ならではの奇抜な視点、発想によりデザイ ン性に富んだ作品に仕上がっているのが特徴です。
 風景において山は最も重要なテーマの一つです。
 それは単なる風景ではなく、時には大 自然や祈りの対象として描かれ、今回もその一つ(浅間三十六景)に取り組むなど壮大 な連作にも挑んでおりその姿から「現代の葛飾北斎」と例えられることもあります。

浅間山に寄せて

柳沢正人

 このたび、浅間山を中心とした個展を開催させていただく事になりました。
 長野県佐久市という、四方を山に囲まれた雄大な地形に育った私にとって、浅間は幼少期から高校を出るまでの自身 の人間形成に多大な影響をもたらしました。
 今では少なくなった大噴火も当時はさほど珍しいものではありませんでした。
 その舜間を目撃するたびに、将来何処にいてもこの活火山のように燃え漆る思いを忘れずにいよう。と胸を震わせたもの でした。
 あれから約半世紀拠点を海外に置いてきましたので、つい忘れそうになっていた地元のシンボル。
 36景という新たなテーマをいただき、もう一度様々な角度、季節から取り組む事になりました。

浅間山の歴史と主な出来事

 約2万3千年前~5万年万江・黒斑山が現在の浅間山の姿の大部分を構成する。
 約2万1千前・黒斑山が崩壊した後に仏岩溶岩が推積。
 約1万5千年前 浅間山の軽石流が流出。
 西暦1108年(天仁元年)前掛山山頂が陥没し追分火砕流が蛇堀川を流下。
 西暦1983年(天明3年)約240年前、天明の噴火で吾妻火砕流が鎌原土石なだれ溶岩流が発生時速100k m以上のスピードで火口より 12k m離れた鎌原地方(嬬恋村) を襲いました。
 鎌原村では6mの火山灰で埋もれ日本のポンペイと言われています。
 その跡地に、まるで観音様が仰向けに寝ているかのように見える。
 巨大な観音様が出現、天を仰ぐその姿には畏敬の念すら感じます。
 この観音様は火砕流に埋もれた嬬恋村方面だからこそ見えるのです。
 大自然が生んだ雄大な寝観音を味わい、さらに畏敬の念に慕ってください。

浅間山と共に生きる

 浅間山は、群馬県と長野県の県境に位置し、今でも活動を続けている活火山です。
 かつて大きな噴火をしてきました。現在では、そのときの溶岩,火山灰、土石でなだらかな高原になっています。
 浅間高原は夏のシーズンには涼しく過ごしやすいので別荘地などが多く広がっています。
 昼夜の寒暖差があり、甘くておいしい高原野菜がたくさん作られ、なかでもキャベツは日本有数の産地になっています。
 樹々はみどり豊かに、花は咲き誇り、野鳥の姿がいたるところで見られます。
 浅間山からこのようなたくさんの自然の恵みを受けています。浅間山は、時には災害をもたらす山でもあります。
 大きな被害を受けた嬬恋村では記憶の風化が今でも忘れない供養を欠かさず続けています。
 6mの深さで埋まった鎌原地方で唯一残ったのは高台にあった観音堂に駆け上がって助かった93人だけでした。
【 ビジターセンター内の展示 】
  浅間山は過去、何度も大きな噴火が起こりました。
 過去の噴火から、現在の浅間山に至るまでの成り立ちをジオラマで展示しています。
 また噴火後、裸地から森林にどのように植生が変化していったのか解説しています。
 噴火口の模型、植物分布模型、主に地域に生息するチョウの標本、溶岩などの岩石標本等を展示しています。
【 自然遊歩道 】
 1783年(天明3年)の浅間山大噴火で噴出した溶岩が造った奇岩地帯「鬼押出 し」。
 浅間高原有数の景勝地です。
 荒々しい溶岩の間に咲く、イワカガミ、ハクサンシャクナゲ、ツガザクラなどの 可憐な高山植物、ホオジロなどの野鳥、クジャクチョウ・アサギマダラなどの昆虫たち。
 浅間山北麓の豊かな自然を楽しみながら散策できます。
 高台に位置しているため眺望も素晴らしく、広大な浅間高原の先にそびえる、草津白根山(くさ つしらねさん)や北アルプス連峰、谷川連峰などの山々を眺めることができます。
【 スカイロックトレイル 】
 トレッキングコースの地形や地質は、浅間山が過去に起こした3回の大噴火に よって形成されており、鬼押出し溶岩、上の舞台溶岩、下の舞台溶岩の上を歩く ことができます。
 大噴火の影響により、ここでしか見ることができないごつごつ とした溶岩が広がる地形や、そこに生育する貴重な高山植物群、また大きな噴石によるクレーターや吾妻火砕流によってできた溶岩樹型など、浅間山特有のまさ しく“地球の鼓動を体感”できるすばらしい景観が広がっています。
 浅間山(2568ⅿ)は、群馬県と長野県の県境にそびえる日本を代表する活火山で す。
 上信越高原国立公園に位置しており、さらにこのビジターセンター周辺は浅間 山北麓ジオパークとして、日本ジオパークにも認定されています。
 今なお活発に活動を続ける浅間山、その北麓に広がる浅間高原は、裸地から森林 へと植物が遷移していく様子を観察するには、最適な環境であると言えます。

Newsお知らせ

2026/3/18お知らせ
「浅間山を描く日本画家 柳沢正人」のホームページを新規開設いたしました
2026/3/18お問い合わせ
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2026/3/18展覧会
箱根芦ノ湖「成川美術館」にて柳沢正人展 7月17日(金)~11月12日(木)

 

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